施設内研修:感染予防対策について


先日、BCP研修として「介護職員のための感染予防対策」を実施しました。

感染症に関する研修は今年度2回目となります。前回は、利用者様や職員に感染者が発生した際の実動訓練を中心に行いましたが、今回は河内長野市中部地域包括支援センターの保健師の方に「感染予防」の重要性を深く掘り下げていただきました。

感染が成立する3つの要因と介護施設のリスク

感染症は、以下の3つの要因が揃うことで成立します。
• 感染源: 病原体(ウイルスや細菌)
• 感染経路: 感染源が移動するルート
• 宿主: 感染者(抵抗力のない人)

感染源が持ち込まれ、拡散され、特に体力が弱っている宿主に到達することで感染症は発症します。
複数の持病をお持ちで免疫力が落ちがちな高齢のご利用者様が多く集団生活を営む介護施設では、一旦感染源が持ち込まれるとたちまちクラスターが発生する高いリスクがあります。当施設でも過去に新型コロナウイルスとインフルエンザが流行し、完全な沈静化まで長い時間を要した経験がありました。

感染症を防ぐ「3つの対策」の徹底

この3つの要因に対し、対策は以下の通りです。
●感染源:感染源(病原体)の排除→消毒、うがいの励行
●感染経路:感染経路の遮断→手洗い・消毒の徹底、マスク、エプロンの着用(広げない)
●宿主:宿主の抵抗力の向上→病原体に負けない健康な身体づくり(休養・栄養)

特に集団生活を送る環境下、また職員やその家族を守るためにも「感染経路の遮断」は重要です。講師からは、「持ち込まない」「拡げない」「持ち出さない」の3つの配慮を徹底する必要があると強調されました。
これらに加えて、主な感染経路と、感染対策の基本的な考え方である「スタンダードプリコーション」についても改めて教わりました。

実践!正しい手洗いと手袋着脱の検証

正しい手袋の取り外し方を学ぶために用意されました


座学だけでなく、今回は感染予防の観点から正しい手袋の外し方や、手洗い手順と効果の検証も行いました。

介護の仕事に欠かせない手袋ですが、どんな状態でも基本的に「外側は汚れている」と認識した上で外すことが肝心とのこと。
汚れていない内側からめくって外しまとめることで、汚れを内側に封じ込めることができます。


続いて行われた手洗いの検証では、手のひらに塗布したローションを洗い流してもらいました。


教わった手順に従って手洗いを行った後、ブラックライトで照らすと効果は一目瞭然!


自分の手洗いの癖や課題を視覚的に確認することができますが、実はほとんどの職員が洗い残しがなく、普段から正しい手洗いを実践していることがわかりました。洗い残しがあった職員もきれいに落ちるまで何度もやり直し、正しい知識を身に着けようと取り組んでいました。

感染源を完全に遮断することは難しいですが、私たち一人ひとりの意識と行動で、感染拡大を確実に防ぐことができます。
今回の研修を通じ、利用者様と職員の安全を守るために、「清潔な環境」と「病原体に負けない身体づくり」が改めて重要だと強く感じました。
学んだ知識と技術を日々のケアに活かし、安心・安全な施設環境の維持に努めてまいります。

手袋の着脱方法(サラヤ)
手洗いマニュアル(公益社団法人日本食品衛生協会)